コラム

2019.01.30

走っているクルマは1台ではない

交差点で信号が青に変わったのを確認したら、ブレーキペダルを踏んでいる右足を一呼吸おく感じでアクセルへと移し、じわーっと踏み込んでゆっくりと加速。
できるだけ速度を上げることなく走り続けたならば、アナタのクルマはきっと素晴らしい燃費を記録することでしょう。
ですが、もしアナタの周囲にたくさんのクルマがいた場合はどうなるでしょうか。
ルームミラーに目をやってみれば、おそらくアナタの後ろにはたくさんのクルマが連なって流れが悪くなり、あるいは渋滞すら発生し始めているかもしれません。
もしもアナタがいたのが右折車線だったとしたら、特にまずいことになりそうです。
ただでさえ短い右折信号なのに、アナタが“ふんわりアクセル”でじわーっと発進したために、1回の信号待ちだけでは曲がりきることのできなかったクルマが列をなしてしまうという可能性は十分にあります。
その後端は、右折車線の中だけでは収まりきらず、直進車線まで連なってしまっているかもしれません。
アナタのクルマの素晴らしい燃費と引き換えに起きた混雑あるいは渋滞によって、その交差点の周辺にいたクルマ全体の燃費は、おそらく悪化してしまっているに違いないのです。
ゆっくり走って燃費を向上させようという趣旨の話には、交通には流れがあり、道路にはクルマがたった1台で走っているわけではないという観点が決定的に欠けています。
本当のエコドライブとは、自分のことだけでなく周囲のことまで考えた運転によって、その社会全体、国全体、ひいては地球全体という規模でのエコに繋げていくこと。
それこそが本当のエコドライブと言えるのではないでしょうか。